Clásicos japoneses con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Lee 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 152.696 caracteres · 310 pantallas
銭形平次捕物控
一
一
銭形平次が関係した捕物の中にも、こんなに用意周到で、冷酷無慙なのは類のないことでした。
元鳥越の大地主、丸屋源吉の女房、お雪というのが毒死したという訴えのあったのは、ある秋の日の夕方。係り同心漆戸忠内の指図で、平次と八五郎が飛んで行ったのは、その日も暮れて街へはもう灯の入る時分でした。
「ヘエー、御苦労様で――」
出迎えた番頭の総助の顔は真っ蒼。
「銭形の親分さんで、――とんだお騒がせをいたします」
そう言う主人源吉の顔にも生きた色がありません。
「皆んな蒼い顔をしているようだが、どうした事だい」
平次は単刀直入に訊きました。
「皆んなやられましたよ、親分さん、運悪く死んだのは平常の身体でなかった家内一人だけで」
主人源吉の頬のあたりに、皮肉な苦笑が歪んだままにコビリ付きます。
「フーム、一家皆殺しをやりかけた奴があると言うのだな」
「ヘエ――」
主人と番頭は顔を見合せました。
「そいつは容易ならぬ事だ、詳しく聞かして貰おうか」
平次も事の重大さに、思わず四方を見廻しました。気のせいか、家中のものが皆んなソワソワして、厄病神の宿のように、どの顔もどの顔も真っ蒼です。