Clásicos japoneses con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lee 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 143.455 caracteres · 290 pantallas
六
そのまま凝としていると、それっきりあきらめて帰った様子です」
「…………」
「翌る朝、夜の明けるのを待ち兼ねて、庭を開けてみると、下駄の跡が一パイ」
佐吉はゴクリと固唾を呑みます。
「それは面白くなって来た――越後屋さん、帰ったら、近所中へこう言いふらして下さい――昨夜も変な野郎が来て今度は俺を誘き出そうとしたが、雪のせいで腹が痛くて顔を出せなかった。今度来たら、キッと女房の下手人の顔を見定めてやるから――と」
「少しも面白くはありませんが、やってみましょう。だが、私はもう一度来ても、顔を出すのは御免を蒙りますよ」
強か者らしい佐吉も、この「見えざる敵」にはすっかり脅かされた様子です。
「大丈夫、相手は雪の晩でなきゃア来ないと解ったようなものだから、この次の雪の降る晩に、私か八五郎が、そっと戌刻(八時)前から行って庭口から入れて貰いましょう。それなら心配はないでしょう」
「ヘエ――、まア、そうまでして下されば」
佐吉は呑込み兼ねた様子で帰って行きました。
六
よく雪の降った年ですが、それから七日ばかりは晴続き、押詰って、二十四日、夕景から催した雪が、宵には綿を千切って叩き付けるような大降りになりました。