Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡

野村 胡堂

Lee 銭形平次捕物控(十一)懐ろ鏡 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 141.130 caracteres · 288 pantallas

Aozora Bunko

平次はまだその辺にうろうろしている大番頭の和七を呼びました。

「…………」

和七の表情は急に硬ばります。

「この右下がりの筆癖は、お前に解らないはずはあるまい」

「亡くなった主人の字にも似ておりますが――」

「まだ外にこんな字を書く者があるだろう」

「ヘエ――」

「誰だ」

平次の問いは仮借しませんでした。

「仙之助が主人を真似て、右の肩下がりの字を書きます」

和七はそう言うのが精いっぱいでした。

「親分」

ガラッ八と富蔵は顔を見合せました。合図一つで、飛出して仙之助を縛り兼ねまじき気色です。平次はしかし、それを眼で押えて、それ以上追及しそうもありません。

その日の調べは、それで了りました。宝探しの深刻な競争は、まだ続いている様子ですが、平次はそんなものには眼もくれず、和七にいろいろの帳面を出させて解らないながらも一応眼を通し、それから大きな取引先を二三軒訪ねて、上総屋の財政状態を、出来るだけ調べました。

それから三日目。

「親分、大変ですぜ」

上総屋を見張らせていたガラッ八が、少し取りのぼせた形で飛び込んで来ました。

「何をあわてているんだ、八」

「音松がゆうべから帰りませんよ」