Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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くにさだえがく

鏡花短篇集 川村二郎編

泉 鏡花

Lee 鏡花短篇集 川村二郎編 (くにさだえがく) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.644 caracteres · 40 pantallas

Aozora Bunko

「あれ。」と言いさま、ぐったりと膝を支いた。胸を衝と反らしながら、驚いた風をして、

「どうして貴下。」

とひょいと立つと、端折った太脛の包ましい見得ものう、ト身を返して、背後を見せて、つかつかと摺足して、奥の方へ駈込みながら、

「もしえ! もしえ! ちょっと……立田様の織さんが。」

「何、立田さんの。」

「織さんですがね。」

「や、それは。」

という平吉の声が台所で。がたがた、土間を踏む下駄の音。

五

「さあ、お上り遊ばして、まあ、どうして貴下。」

とまた店口へ取って返して、女房は立迎える。

「じゃ、御免なさい。」

「どうぞこちらへ。」と、大きな声を出して、満面の笑顔を見せた平吉は、茶の室を越した見通しの奥へ、台所から駈込んで、幅の広い前垂で、濡れた手をぐいと拭きつつ、

「ずっと、ずっとずっとこちらへ。」ともう真中へ座蒲団を持出して、床の間の方へ直しながら、一ツくるりと立身で廻る。

「構っちゃ可厭だよ。」と衝と茶の間を抜ける時、襖二間の上を渡って、二階の階子段が緩く架る、拭込んだ大戸棚の前で、入ちがいになって、女房は店の方へ、ばたばたと後退りに退った。

その茶の室の長火鉢を挟んで、差むかいに年寄りが二人いた。