Clásicos japoneses con furigana
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くにさだえがく
鏡花短篇集 川村二郎編
泉 鏡花
Lee 鏡花短篇集 川村二郎編 (くにさだえがく) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.644 caracteres · 40 pantallas
ああ、まだ達者だと見える。火鉢の向うに踞って、その法然天窓が、火の気の少い灰の上に冷たそうで、鉄瓶より低い処にしなびたのは、もう七十の上になろう。この女房の母親で、年紀の相違が五十の上、余り間があり過ぎるようだけれども、これは女房が大勢の娘の中に一番末子である所為で、それ、黒のけんちゅうの羽織を着て、小さな髷に鼈甲の耳こじりをちょこんと極めて、手首に輪数珠を掛けた五十格好の婆が背後向に坐ったのが、その総領の娘である。
不沙汰見舞に来ていたろう。この婆は、よそへ嫁附いて今は産んだ忰にかかっているはず。忰というのも、煙管、簪、同じ事を業とする。
が、この婆娘は虫が好かぬ。何為か、その上、幼い記憶に怨恨があるような心持が、一目見ると直ぐにむらむらと起ったから――この時黄色い、でっぷりした眉のない顔を上げて、じろりと額で見上げたのを、織次は屹と唯一目。で、知らぬ顔して奥へ通った。
「南無阿弥陀仏。」
と折から唸るように老人が唱えると、婆娘は押冠せて、
「南無阿弥陀仏。」と生若い声を出す。
「さて、どうも、お珍しいとも、何んとも早や。」と、平吉は坐りも遣らず、中腰でそわそわ。