Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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くにさだえがく

鏡花短篇集 川村二郎編

泉 鏡花

Lee 鏡花短篇集 川村二郎編 (くにさだえがく) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.644 caracteres · 40 pantallas

Aozora Bunko

今日こそ何んでも、という意気込みであった。

さて、その事を話し出すと、それ、案の定、天井睨みの上睡りで、ト先ず空惚けて、漸と気が付いた顔色で、

「はあ、あの江戸絵かね、十六、七年、やがて二昔、久しいもんでさ、あったっけかな。」

と聞きも敢えず……

「ないはずはないじゃないか、あんなに頼んで置いたんだから。……」と何故かこの絵が、いわれある、活ける恋人の如く、容易くは我が手に入らない因縁のように、寝覚めにも懸念して、此家へ入るのに肩を聳やかしたほど、平吉がかかる態度に、織次は早や躁立ち焦る。

平吉は他処事のように仰向いて、

「なあ、これえ。」

と戸棚の前で、膳ごしらえする女房を頤で呼んで、

「知るまいな。忘れたろうよ、な、な、お前も、あの、江戸絵さ、蔵の中にあったっけか。」

「唯、ござりえす、出しますかえ。」と女房は判然言った。

「難有う、お琴さん。」

とはじめて親しげに名を言って、凝と振向くと、浪の浅葱の暖簾越に、また颯と顔を赧らめた処は、どうやら、あの錦絵の中の、その、どの一人かに俤が幽に似通う。……

「お一つ。」

とそこへ膳を直して銚子を取った。変れば変るもので、まだ、七八ツ九ツばかり、母が存生の頃の雛祭には、緋の毛氈を掛けた桃桜の壇の前に、小さな蒔絵の膳に並んで、この猪口ほどな塗椀で、一緒に蜆の汁を替えた時は