Clásicos japoneses con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Lee 青べか物語 (あおべかものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 160.888 caracteres · 317 pantallas
「しょうべえしょうべえだな」
「これはしょうべえじゃねえだよ」春さんはちょっと気を悪くしたようであった。しかしそれを表にあらわすようなことはせず、オクターブを半音さげたくらいの声で続けた、「――そのうちに島田初年兵の心臓が止っただ、軍医は用心ぶけえ人だったからうっかり信用はしねえ、聴診器を当てたまま辛抱づよくようすをみてただよ、だが心臓の止ったにゃあ嘘も隠しもなかった、そこで若い軍医は聴診器を耳から外し、ゴム管をぐるぐる巻きながら、おふくろと妹に御臨終ですって云っただ」
「軍隊でもやっぱりそんなふうに云うだかい」
「するとな」春さんは質問を無視して続けた、「その島田初年兵のおふくろが、しょぼしょぼした眼を拭きながら、大きな欠伸をしただよ」
「なにをしただって」
「おふくろの欠伸がうつったものか、妹も同じように大欠伸をしたっけだ」春さんはそのときの情景を噛み味わうかのように、眼を伏せて十秒ばかり黙り、それからゆっくりと頭を左右に振って、云った、「――三日三晩、一睡もせずに付き添ってただし、泣くだきゃあ泣いたあとだからふしぎはねえだろうが、息を引取ったと聞いたとたんに、その母親と妹が枕許でおめえ、……」