Clásicos japoneses con furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lee 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 119.879 caracteres · 242 pantallas
彼は子供の頃から冷酷な家庭に育ったのだが、それでも矢張り家族の温情を空想せずには檻の中で生きられないものらしい。
辰夫は初め此の空想が私にさとられることを甚だ怖れていた。ところが私は毎日その母を訪れない振りをして極めて下手に母の冷たさを誤魔化しているものだから、やがて辰夫は其れを見破り、唯一の慰めが裏切られたことに致命的な苦痛を感ぜずにはいられなかった。彼ほどの冷静なかつ聡明な人にして全く可笑しな話であるが、そこで彼は自分の恥ずべき空想が私に見破られたことを焦慮して、今度は頻りに自分の母は何物にも増して自分を愛していることを私に信じさせ、説服しようとするのであった。檻の中の辰夫の望みが如何に謙虚なものであったか、今私は胆に銘じて記憶している。それにも拘らず、その頃私は愚かであった。(今も――)
扨て辰夫は次第に苛々して、遂には私が如何にも辰夫の母親を誤解し、母親は辰夫を愛しているにも拘らず私は愚鈍で其れを見破るよすがもない、という意味を仄めかそうとするのであった。莫迦な私は逆上して、
「君は実に物の分らない妄想溺惑家だ。今は白状するが、僕は毎日君のお母さんに会っている。