Clásicos japoneses con furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lee 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 119.879 caracteres · 242 pantallas
この女は娼婦の生活のために、不感症であった。肉体の感動というものが、ないのである。
肉体の感動を知らない女が、肉体的に遊ばずにいられぬというのが、私には分らなかった。精神的に遊ばずにいられぬというなら、話は大いに分る。ところが、この女ときては、てんで精神的な恋愛などは考えておらぬので、この女の浮気というのは、不感症の肉体をオモチャにするだけのことなのである。
「どうして君はカラダをオモチャにするのだろうね」
「女郎だったせいよ」
女はさすがに暗然としてそう言った。しばらくして私の唇をもとめるので、女の頬にふれると、泣いているのだ。私は女の涙などはうるさいばかりで一向に感動しないたちであるから
「だって、君、変じゃないか、不感症のくせに……」
私が言いかけると、女は私の言葉を奪うように激しく私にかじりついて
「苦しめないでよ。ねえ、許してちょうだい。私の過去が悪いのよ」
女は狂気のように私の唇をもとめ、私の愛撫をもとめた。女は嗚咽し、すがりつき、身をもだえたが、然し、それは激情の亢奮だけで、肉体の真実の喜びは、そのときもなかったのである。
私の冷めたい心が、女の虚しい激情を冷然と見すくめていた。