Clásicos japoneses con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lee 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 261.216 caracteres · 521 pantallas
「――気晴らしの妙薬、さ、おひとつおやりなさい」
と、盃洗の水を切って、お米に向けた。
「お酒かい……」
気のすすまない顔をして、
「よそうよ」
「そんなことをおっしゃらずにさ。これにゃ、鼠薬は入っていやしませんぜ」
「お前は、まだそれを遺恨に思っているのだろう」
「こいつは、悪いことをいいました。自分から水に流そうと誓っておきながら……。もう決して申しませぬ、さあ酌ぎますぜ。くよくよは虫のお毒、すなおに阿波へさえ帰ってくれれば、もう何の文句もありません。さ、お持ちなさいよ、盃を」
「じゃ、ほんのポッチリ……」
銚子の口と、盃のへりがカチと触れた。
しばらくすると、宅助、少し居ざんまいを壊してきて、白眼を赤く濁している。
ちびりちびり飲みながら、初めのうちは、微細な注意を払って、お米の懺悔の真偽を観ぬこうとしていたが、そのうちにその眼が、かつて気がつかずにいたこの女の美を発見して、すっかり心をとろかせた。
顔にも襟にも、彫りの深い感じがある。青味の白粉に、玉虫色の口紅、ひどく魅惑的で、そして弱々しい病的な美だ。それは、決して肉感的とはいえないものだが、なぜか、男にひどい力を思い起こさせる。