Classiques japonais avec furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lisez いやな感じ (いやなかんじ) de 高見 順 (たかみじゅん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 292 113 caractères · 587 écrans
お店へ行って、荷物をまとめて出てくる。そう言う波子と別れて、俺はアビルに会いに行った。アビルとの約束を思い出したからか。狼狽が俺をアビルのところへ走らせたのである。アビルに会ってどうしようというのか。それは自分でもさっぱり分らない。俺がいかに狼狽していたかの、これもひとつの証拠かもしれない。
焼酎屋で会おうと俺は約束していたが、ひとまず、ひょうたん池へ行ってみると、アビルはいつものようにローソクを持って立っていた。ロクマ(大道易者)のアビルの、乞食のような姿は、こっちの気のせいもあってか、神秘と威厳にみちたものとして俺に見られた。留置場での道化めいた印象とはまるでちがう。
俺が近づくよりさきに、ひとりのキスズレ(酔漢)がからかい半分と思われる足どりでアビルの前に立った。彼はローソクの光で客の手相を見、骨相を見て、おごそかな表情で何ごとかを告げているのを俺は物かげで観察した。下町の店員と覚しい客は、次第に神妙な表情を全身に現わすことで、この「予言者」の言葉にひきこまれて行ったことを語っている。やがてこの客がうやうやしく差し出す金を、アビルは昂然と面をあげたまま、受け取った。