Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おもかげ

おもかげ

山本 周五郎

Lisez おもかげ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 242 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

それからいろいろな事が変った。それまでお祖父さまのおそばで寝ていたのを、べつに自分の部屋がきめられた。朝もずっとはやく、午前四時には起きなければならない、そして井戸端へ行って自分で水を汲み、顔を洗ったり、裸になってからだを清めたりするのである。季節はもうすっかり冬になっていたので、正之助にはそれがずいぶん辛かった。そして朝な朝な、重い釣瓶の綱をたぐりながら、「お母さまが生きておいでなすった時は、こんなことはいつも誰かがして呉れたのに――」と思って、しぜんと涙ぐむことがしばしばだった。お稽古から帰るといつもおやつの菓子が貰えたのに、それもやめになった、そのうえ叔母さまが薙刀を持って、武芸の練習をはんとき(一時間)ほどするのである、だから夕食がすむ頃には、まぶたの垂れるほど眠くなっているが、それからまた素読のおさらいをしなければならないのであった。

「もっとはっきり、声をはっきりあげてお読みなさい」

叔母さまはぴしぴしとお叱りになった。

「ご両親がそろっている者と違って、すこしでもひとに劣ると、あれは片親だからとすぐに云われます。心をひきしめて、鳥取藩の誰にも負けない、りっぱな武士にならなければいけません」