Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おもかげ

おもかげ

山本 周五郎

Lisez おもかげ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 242 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

三

叔母さまは本当に人がお違いなすってしまった。いつかは元のようにおやさしくなるのではないか、どんなにあまえても、決してすげなくされることのない叔母さまに戻って下さるのではないか、正之助はひそかにそう願っていたけれど、叔母さまのようすは少しも元へかえらず、「春が来たような――」と云われたお美しい声までが、冷たく、かたく変ってしまった。そしていつも、きびしい眼で正之助のすることを見まもっておいでになり、ちょっと怠ける風がみえても、「昌源寺の墓地で約束なすったことをお忘れですか――」とお叱りなさるのであった。

二年ほど経った或夏の夜のこと、机に向ってお習字をしていた正之助は、ふとお祖父さまのお部屋で話しごえがするのに気づいた。お祖父さまは怒っておいでなさるようすで、お声がいつもより高かったのである。

「それでは約束が違う。一年のばしてくれというので秋山へそう申したのだ。これ以上待てと云えるものではない、それでは破談にせよと申すもおなじことではないか」

「それでも致し方はございません」

三

ああお嫁入りの話なのだと思い、正之助はじっと耳をすました。

「いったいおまえは秋山へとつぐ気持があるのかないのか、それをはっきり云ってごらん」