Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Lisez ちくしょう谷 (ちくしょうだに) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 788 caractères · 138 écrans

Aozora Bunko

話によるとずっと昔からのことであり、代々黙認されて来たのだという。木戸の生活は単調そのもので、これという娯楽もなく、男ばかりが顔をつき合せているため、とかく気持がすさみがちである。また、部落では若い男が少ないし、躾けも教育もされず、野放し同様に育っている女たちは、求めて木戸の番士たちに近づこうとする。どちらの側からいっても防ぎようがない、ということであった。

隼人がまだ城下にいてしらべたときにも、その話はおよそわかっていた。だが彼には真実らしく思えなかったし、山へ来てからはすっかり忘れていた。ところが四月十日すぎの或る夜、彼は自分の眼でそれを現実に見たのである。――季節はもう初夏であるが、山の天候は変りやすく、風のない晴れた日でも、夕方からは寒気がきびしくなり、岩肌に薄氷の張ることも稀ではなかった。その夜は珍しく暖かで、そよ風もなく、谷のはるか下のほうから、夜鳥の鳴く声さえ聞えて来た。――夜の十一時ころだろう、ひと眠りして眼のさめた隼人は、どうやら寝そびれたらしく、いつまでも眠れないうえに、肌が汗ばんできたので起きあがり、新しい寝衣を出して、着替えをした。