Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lisez つゆのあとさき de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 725 caractères · 148 écrans

Aozora Bunko

四

いつからこういう癖がついたのかと、君江は口説かれている最中にも時々自分ながら心付いて、中途で止めようと思いながら、そうなるとかえって止められなくなるのである。美男子に対する時よりも、醜い老人やまたは最初いやだと思った男を相手にして、こういう場合に立到ると、君江はなお更烈しくいつもの癖が増長して、後になって我ながら浅間しいと身顫いする事も幾度だか知れない。

この夜、平素気障な奴だと思っていた矢田に迫まられて、君江は途中から急にその言うがままになり出したのも、知らず知らずいつもの悪い癖を出したまでの事である。

四

翌日の朝、矢田と合乗りした自動車から、君江はひとり士官学校の土手際で降りて、路地の貸間に立戻ったが、鏡台の前へ坐ると、急に眠くなって来て化粧をし直す力もなく、わずかに羽織をぬぎすてたばかり。着のみ着のまま、ごろりと横になった。腕時計の針はまだ九時半をさしたところなので、十時まで三十分間眠るつもりで眼をつぶったのであるが、忽ち格子戸につけた鈴の音と共に男の声のするのを聞きつけて耳をすますと、思いがけない清岡の声なので、君江はびっくりして起直った。