Classiques japonais avec furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lisez みなかみ紀行 (みなかみきこう) de 若山 牧水 (わかやまぼくすい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 102 087 caractères · 203 écrans
自分等のいま登りつつある山を中心にして、それを囲む四周の山が悉くぎっしりと立ち込んだ密林となっているのである。案内人は語った。この山々の見ゆる限りはすべてC―家の所有である、平地に均らして五里四方の上に出ている、そしてC―家は昨年この山の木を或る製紙会社に売り渡した、代価四十五万円、伐採期間四十五個年間、一年に一万円ずつ伐り出す割に当り、現にこの辺に入り込んで伐り出しに従事している人夫が百二三十人に及んでいる事などを。
なるほど、路ばたの木立の蔭にその人夫たちの住む小屋が長屋の様にして建てられてあるのを見た。板葺の低い屋根で、その軒下には女房が大根を刻み、子供が遊んでいた。そしておりおり渓向うの山腹に大風の通る様な音を立てて大きな樹木の倒るるのが見えた。それと共に人夫たちの挙げる叫び声も聞えた。或る人夫小屋の側を通ろうとして不図立ち停った案内人が、
「ハハア、これだナ」
と咳くので立ち寄って見ると其処には三尺角ほどの大きな厚板が四五枚立てかけてあった。
「これは旦那、楓の板ですよ、この山でも斯んな楓は珍しいって評判になってるんですがネ、……なるほど、いい木理だ」