Classiques japonais avec furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lisez みなかみ紀行 (みなかみきこう) de 若山 牧水 (わかやまぼくすい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 102 087 caractères · 203 écrans
不意に一疋の大きな犬が足許に吠えついて来た。胸をときめかせながら中の一軒に近づいて行くと、中から一人の六十近い老爺が出て来た。C―家の内儀の手紙を渡し、一泊を請い、直ぐ大囲炉裡の榾火の側に招ぜられた。
番人の老爺が唯だ一人居ると私は先に書いたが、実はもう一人、棟続きになった一室に丁度同じ年頃の老人が住んでいるのであった。C―家がこの丸沼に紅鱒の養殖を始めると農商務省の水産局からC―家に頼んで其処に一人の技手を派遣し、その養殖状態を視る事になって、もう何年かたっている。老人はその技手であったのだ。名をM―氏といい、桃の様に尖った頭には僅かにその下部に丸く輪をなした毛髪を留むるのみで、つるつるに禿げていた。
言葉少なの番人は暫く榾火を焚き立てた後に、私に釣が出来るかと訊いた。大抵釣れるつもりだと答えると、それでは沼で釣って見ないかと云う。実はこちらから頼み度いところだったのでほんとに釣ってもいいかと云うと、いいどころではない、晩にさしあげるものがなくて困っていたところだからなるだけ沢山釣って来いという。子供の様に嬉しくなって早速道具を借り、蚯蚓を掘って飛び出した。