Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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さぶろうじい

三郎爺

宮本 百合子

Lisez 三郎爺 (さぶろうじい) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 866 caractères · 50 écrans

Aozora Bunko

そして黒いのなら、少くとも五百年は経っていよう、と皆に話したとかで、仕舞いには事実として承認された。

ところが、おかしいことには「何せ黒狐を見るほどの人だから」という、一つの新しい貫目が彼についた。

けれども、この黒狐を見た人は、その頃、夜道さえすれば、きっと狐に引きまわされるというめぐり合わせになっていて、多いときには、五里の道を来るうちに、六七度化かされそうになったことさえある。

それも皆、始めから、化かされない用心に、自分の方から狐を詐(だま)しにかかっては、失敗したのである。

そして、一番最後に、またどこかの狐が廻りはじめたときには――私は知らないが、彼の話によると、狐が人を騙す第一には、先ず或る距離を置いて、グルグルと体の周囲を廻って歩くのだそうだ。――さすがの彼もうんざりして、いきなりどさりと田の畔に腰を下して、煙草を喫(ふか)しながら、半分やけになって、狐を盛にやじったのだそうだ。

すると、三四度、稲をがさがさいわせながら、廻ったあげく、彼の度胸に断念したと見える狐は、どこへか行ってしまったそうである。

彼の意見に従えば、この年以後附近一帯狐はすっかり跡を絶ってしまったから、多分どこへか宿換えする名残りに、さんざん「あばけて」