Classiques japonais avec furigana
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しゃんはい
上海
横光 利一
Lisez 上海 (しゃんはい) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 628 caractères · 292 écrans
死人のことは後でもいいさ。」
「それじゃ、一寸失敬。」
甲谷は宮子に追いついて二人で組むと、踊の群れの中へ流れていった。宮子は甲谷の肩に口をあてて囁いた。
「今夜の足は重いわね。あたしはその人の重さで、何を考えてるのかっていうことが、まアだいたい分るのよ。」
「じゃ、僕は?」と甲谷は訊ねた。
「あなたは、奥様が見つかりそうよ。」
「左様。」
実は、甲谷は一人の死人と七人の妾について考えたのだ。――何んと奇怪な生活法ではないか。廃物利用の極意である。甲谷はその話を聞くまでは、激しく宮子と結婚したい希望をもっていた。だが、七人の女と一人の死人の価値とを聞いてからは、妻帯者の不幸ばかりが浮んで来てならぬのであった。踊がすむと甲谷は山口の傍へ戻って来た。
「君、さっきの死人の話をもう少し聞かしてくれよ。」
「まア、そう急がなくったって、死人はいつでもじっとしているよ。」
「ところが、貧乏だって、じっとしているさ。」と甲谷はいってまた宮子の方をちらりと見た。
「だって、君は貧乏しているようには見えんじゃないか。」
「いや、それや、僕も僕だが、それより参木の奴のことなんだよ。あ奴をもう少し何んとかしてやらないと、死んでしまう。