Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

Lisez 不在地主 (ふざいじぬし) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 990 caractères · 141 écrans

Aozora Bunko

――あの世に行きさえすれば、年を取ってくれば、もうそれしか考えられない。

「何事も、何事もジッと、ジ――イと堪えることじゃ!」

坊さんはそれを繰りかえした。

キヌ

健はキヌが帰ってきたことを知らされた。

「やッぱし小樽だ、あの恰好な! 大家の御令嬢さ。田舎の犬ば、見なれないんで、吠えるべ。――村の青年団もこれア一もめもめるべよ。」

健は笑いもしなかった。

キヌのことは別に頭になかった。――戻ってきたから、どうなる、どうする、今更そんなことでもなかった。

「キヌちゃ戻ってきたワ……?」

節がそれだけを健に云うのに、吃った。――眼が健の顔色を読んでいる。

「馬鹿!」

健は節の唇を指ではじいてやった。

節は一寸だまって、――と、

「そう?――まア、嬉しい!」

急に縄飛びでもするように跳ねて、かけ出して行った。――後も見ずに。

健は二、三日してから、嫌な噂をきいた。――キヌが妊娠している、相手は大学生だとか云っていた。それでホテルにも居たたまらず、「こっそり」帰ってきたのだった。

父はキヌを家に入れない、と怒った。――キヌは土間に蹴落された。ベトベトする土間に、それでも手をついて、「物置の隅ッこでもいいから」