Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふざいじぬし

不在地主

小林 多喜二

Lisez 不在地主 (ふざいじぬし) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 990 caractères · 141 écrans

Aozora Bunko

この一篇を、「新農民読本」として全国津々浦々の「小作人」と「貧農」に捧げる。「荒木又右衛門」や「鳴門秘帖」でも読むような積りで、仕事の合間合間に寝ころびながら読んでほしい。

一

「ドンドン、ドン」

泥壁には地図のように割目が入っていて、倚りかかると、ボロボロこぼれ落ちた。――由三は半分泣きながら、ランプのホヤを磨きにかかった。ホヤの端を掌で抑えて、ハアーと息を吹き込んでやると、煙のように曇った。それから新聞紙を円めて、中を磨いた。何度もそれを繰返すと、石油臭い匂いが何時迄も手に残った。

のめりかけている藁屋根の隙間からも、がたぴしゃに取付けてある窓からも、煙が燻り出ていた。出た煙はじゅくじゅくした雨もよいに、真直ぐ空にものぼれず、ゆっくり横ひろがりになびいて、野面をすれずれに広がって行った。

由三は毎日のホヤ磨きが嫌で、嫌でたまらなかった。「えッ、糞婆、こッたらもの破ってしまえ!」――思い出したように、しゃっくり上げる。背で、泥壁がボロボロこぼれ落ちた。何処かで牛のなく幅の広い声がした。と、すぐ近くで、今度はそれに答えるように別の牛が啼いた。