Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ふざいじぬし
不在地主
小林 多喜二
Lisez 不在地主 (ふざいじぬし) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 990 caractères · 141 écrans
節は不意に顔を上げた。
焚火が消えると、四囲が暗く、静かになった。時々川の面で、ポチャッ――ポチャッ、と水音が立った。魚が飛び上るらしかった。
「今に分るさ……。遅くなった、帰るか、ん?」
健は腰をあげて、前をほろった。しめッぽい草の匂いが、鼻に来た。節はしばらくじッとしたままでいた。――「ん?」と、もう一度うながすと、ようやく腰を起した。
「帰るウ?」
健は雑草を分けて、歩き出した。
向うを、「ここはみ国の何百里……」の歌を口笛で吹きながら、誰か歩いて行った。
「口笛、武田でねえかな。――曲るど。見つけられたら、良え模範青年だからな。」そして大きな声で笑った。
「もう、模範青年、模範青年ッてのやめてよ。」節は悲しい声を出した。
――節は悲しかった。健と会うときは、何時でも何かの期待でウキウキする。然し自分でもハッキリ分らなかったが、何んだか物足りない気持を残して、何時でも別れていた。健の何処かに冷たさがあると思った。それが悲しかった。
村に入る角の「藪」を曲がると、その向い側の暗いところから、女が誰かに、くすぐられてでもいるらしく、息をつめてクックッと笑いこけているのが聞えた。