Classiques japonais avec furigana
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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Lisez 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 458 caractères · 363 écrans
彼はそれを証拠にして、現在、父子すらもその血が一つに合わないのであるから、滴血などをもって裁判をくだされては甚だ迷惑であると、逆捻じに上訴した。彼としては相当の理屈もあったのであろうが、不幸にして彼は周囲の人びとから憎まれていた。
「あの父子の血が一つに寄らないのは当り前だ。あの男の女房は、ほかの男と姦通しているのだ」
この噂が官にきこえて、その妻を拘引して吟味すると、果たしてそれが事実であったので、弟は面目を失って、妻を捨て、子を捨てて、どこへか夜逃げをしてしまった。その資産はとどこおりなく兄に引き渡された。
由来、滴血のことは遠い漢代から伝えられているが、経験ある老吏について著者の聞いたところに拠ると、親身の者の血が一つに合うのは事実である。しかし冬の寒い時に、その器を冷やして血をそそぐか、あるいは夏の暑いときに、塩と酢をもってその器を拭いた上で血をそそぐと、いずれもその血が別々に凝結して一つに寄り合わない。そういう特殊の場合がいろいろあるから、迂闊に滴血などを信ずるのは危険であると、彼は説明した。
成程そうであろうと思われる。しかしこの場合、もし滴血をおこなわなければ、弟はおそらく上訴しなかったであろう。