Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lisez 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) de 壺井 栄 (つぼいさかえ) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.
N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 113 429 caractères · 227 écrans
「この風では、子どもには少し無理ですわ、先生。あ、あぶない!」
大吉の小さなからだは櫓といっしょに、海にのめりこみそうに見えたりする。そのけんめいさは、小舟とともに大吉の小さなからだにあふれていて、見ているこちらもしぜんに力んできた。おかでは寒くさえあるのに、大吉は汗みずくにちがいなかった。
「自転車は、もうお乗りにならないんですか、先生」
ミサ子から声をかけられてもそれに耳をかすゆとりもなく、大石先生は、波にもまれる大吉を小舟もろともたぐりよせたい気持で見ていた。ミサ子はかさねて、
「雨や風の日は、舟はむりでしょう。自転車のほうが、かえって早いでしょうに」
「ええ、でもねミサ子さん、自転車なんて、きょう日は、買うに買えないでしょ。もしも買えるとしても、ふところが承知しない」
舟から目をはなさずにいいながら、以前でさえも月賦で買ったことを思いだした。それをしてくれた富子という自転車屋の娘は、そのあと結婚して東京でくらしていたのだが、はがきさえも品切れがちの戦争中に消息もたえ、そのままになっている。東京の本所で、やはり自転車屋をしていた彼女一家が、今どこにどうしているか、おそらくは三月九日の空襲で一家全滅したのではなかろうかと考えだしたのは、戦争も終るころだった。