Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Lisez 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) de 壺井 栄 (つぼいさかえ) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.
N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 113 429 caractères · 227 écrans
九 泣きみそ先生
笑うと口の奥がくらく見えた年よりのことである。春寒むの道ばたに、ただの日光をうけた蕾をふくらませていた山吹である。そうして、さらにさらに大きなかげで包んでしまうのは、いつのまにか軍用船となって、どこの海を走っているかさえ分からぬ大吉たちの父親のことである。その不安を語りあうさえゆるされぬ軍国の妻や母たち、じぶんだけではないということで、人間の生活はこわされてもよいというのだろうか。じぶんだけではないことで、発言権を投げすてさせられているたくさんの人たちが、もしも声をそろえたら。ああ、そんなことができるものか。たったひとりで口に出しても、あの奥歯のない年よりがいったように、うしろに手がまわる。
ただの日光をうけて、春寒むの道ばたにふくらむ山吹は、それでも、花だけは咲かせたろうに。……
九 泣きみそ先生
海も空も地の上も戦火から解放された終戦翌年の四月四日、この日朝はやく、一本松の村をこぎだした一隻の伝馬船は、紺がすりのモンペ姿のひとりのやせて年とった小さな女を乗せて、岬の村の方へ進んでいった。静かな海に靄はふかくたちこめていて、岬の村は夢のなかに浮かんでいるようにみえたが、やがてのぼりはじめた太陽に醒まされるように、その細長い姿を、しだいにくっきりと、あらわしはじめた。