Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひとのくに

人の国

豊島 与志雄

Lisez 人の国 (ひとのくに) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 761 caractères · 16 écrans

Aozora Bunko

「少し違っていますよ。嬰児の如くならずば天国に入ることを得ず……というのじゃありませんか。」

久保田さんは眼をくるくるさして、満足げに怜悧な長男を眺めた。その時、新たな想念が頭を掠めた。

「なるほど、嬰児……だが天国はいかんよ。嬰児の如くならずば神の国に入ることを得ず。そこで……子供の如くならずば人の国に入ることを得ず……大人の如くならずば悪魔の国に入ることを得ず……。」

「叔父ちゃん、ほら、臼だよ。」

膝頭まで御鉢入れを被ってごそごそやりながら、子供が徐々に近寄ってくるのを、久保田さんは突然気付いて、わざと頓狂な声を出して、少し後ろに飛びしざった。

「神の国……人の国……悪魔の国……。」

繰返し胸の奥で唱えていると、頭の中がぱっと明るくなったような気がした、と同時に、室の中も妙に明るくなったようだった。

「ほほう、なるほど!」

という気持で、久保田さんは一同の顔を見廻した。それから肩をぴくりとさした。そこへまた臼がやって来た。

「さあ此度はまたわしが臼だ。」

御鉢入れを子供からひっこぬいて、頭にすっぽりと被った。

それから、女中が蜜柑を持ち出すまで久保田さんは子供達と遊んだ。