Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
Lisez 人間豹 (にんげんひょう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 155 989 caractères · 311 écrans
彼は思わず身構えをして、しばらく耳をすましていたが、電話とわかると、チェッと舌打ちして、そのまま歩き出そうとした。だが、やがて人間豹の醜い顔に狡猾な笑いが浮かんだ。燐光を放つ両眼が糸のように細くなって、赤い唇がニッとめくれ上がると、牙のように見える白い八重歯が、その隅からチラリとのぞいた。
彼はその異様な表情のまま廻れ右をして、ツカツカと書斎へはいって行った。そして、そこの卓上電話を握ると、いきなり受話器をはずして、けもののようにピクピク動く薄い耳たぶにあてがった。
(モシモシ、モシモシ、僕だよ、僕だよ。君は誰だい。小林君かい)
声といい、言葉使いといい、電話のぬしは明智小五郎に違いなかった。それを知ると、恩田の両眼は何か快い音楽でも聞くように、さらにさらに細められて行った。
(モシモシ。小林君じゃないのかい。急ぎの用事なんだ。何をグズグズしているんだい。それともそちらは明智事務所じゃないのですか)
明智探偵のイライラしている様子が眼に見えるようだ。
「モシモシ、そうですよ。こちらは明智事務所ですよ。しかし、今小林君はちょっとさしつかえがあるんです」