Classiques japonais avec furigana
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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lisez 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) de 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 290 735 caractères · 566 écrans
二巻一五二―三頁。一九二四年版、エントホヴェンの『孟買俚俗』六章)。既に上に引いたポールの書にも、ヒンズ人が狼に養われた児を礼拝して、一族狼害を免がると信じた旨明記しある。また日本の狼が人の子を助け育てた実例はないとは尤もな言い分だが、そんな話は確かに伝わりおる。『紀南郷導記』に、西牟婁郡「滝尻五体王子、剣山権現ともいふ由なり、往昔秀衡の室、社後の岩窟にて臨産の節、祈願して母子安全たり、また王子に祈誓し、この子をすなはち巌窟に捨て置き、三山に詣して帰路にこれをみるに、狐狼等守護していさゝかも恙なき故に、七重伽藍を建立」したと見ゆ。拙妻の妹が剣山の神官の子婦だから、この話は毎度耳にしおり、乳岩という岩ありて乳を滴り出し、狐狼がそれで以て秀衡の幼児(後に泉三郎忠衡)を育てたそうだ。それから前年柳田氏に借りて写し置いた『甲子夜話』一七に、旗下の一色熊蔵話しとて、「某といへる旗下人の領地にて、狼出て口あきて人に近づく、獣骨を立てたるを見、抜きやれば、明日一小児門外に棄てあり、何者と知れず、健かに見えしとて、憐れんで己が子のごとく養ひ、成長後嗣子とせり、本より子なかりしを知りて、何方よりか奪ひ来りしとみゆ、狼つれ来りし証は、肩尖に歯痕あり、子孫に連綿と勤めおるが、肩には歯痕ごとき物あり」