Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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じゅうにしこう

十二支考(上)〔全2冊〕

南方 熊楠

Lisez 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) de 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 290 735 caractères · 566 écrans

Aozora Bunko

ヘブリウの諸典また蛇あるいは竜を死と罪業の本とて、キリスト教の神誌これを沿襲せり。しかるにギリシア、ローマには一方に蛇を兇物として蛇髪女鬼、九頭大蛇等、諸怪を産出せる他の一方に、竜種を眼利く地下に住む守護神として崇敬せり。例せば医神アスクレピオスの諸祠の神蛇、デルフィの大蛇、ヘスペリデスの神竜等のごとしと。熊楠バッジ等エジプト学者の書を按ずるに、古エジプト人も古支那と同じく、竜蛇を兇物とばかり見ず善性瑞相ありとした例も多く、神や王者が自分を蛇に比べて、讃頌したのもある。

さてフ氏またいわく、一汎に言えば竜の悪名は好誉より多く、欧州では悪名ばかり残れり。キリスト教は古宗教の善悪の諸竜を混同して、一斉にこれを邪物とせり、かくて上世の伝説外相を変えて、ミカエル尊者、ジョージ尊者等、上帝に祈りて竜を誅した譚となり、以前ローマの大廟に窟居して大地神女を輔け人に益した神蛇も、法王シルヴェストル一世のために迹を絶つに及べり。北欧の大蛇も、東方南方の大蛇と性質同じく罪悪の主、隠財の守護にして、人が好物を獲るを遮る。故に中世騎士勇を以て鳴る者竜を殺すをその規模とし、近世と余り隔たらぬ