Classiques japonais avec furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans
「尤もだが、ま、俺からいうと、俺のいうことを聞いてくれたら、由羅付なりと、大殿付なりと、好きなところへ奉公してもいい、と、こういいたいの」
常公が、頷いた。深雪は、頭から、髪の中まで、口惜しさでいっぱいだった。父に別れるとすぐ、浅ましい妾奉公などを、大工上りの小藤次から、申し込んで来たのに対して、口惜しかった。
(でも、これを忍ばないと――いい機なのだから――)
と、思った。然し、小藤次に肌を与えてまでも、由羅付女中になりたくはなかった。そうまでしないでも、外に方法があるように思った。然し、益満は
「操ぐらい――」
と、軽く――それも、深雪には、口惜しかった。汗ばんだ手に、懐の短刀を握って
(由羅付になって、由羅を刺すか、自分を刺すか)
と、思うと、人々の見ている中で、芝居をしているように、いろいろの場面が、空想になって拡がって行った。
(女の決心は、男の決心よりも強い。その今、流している涙を十倍にして、敵党へ叩きつける決心をするのだ。父の分、母の分、兄の分、姉の分を、自分一人で背負って、復讎する決心をしておれ)
と、云われたが、それを思い出すと、小藤次に、肌を許して、一日も早く、お由羅を刺そうかとも思った。