Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans
玄白斎は、そう呟きつつ、じりじり身体を立ててきた。
玄白斎は、床の上へ坐って、人々の顔を見廻した。それから
「皆、よく聞け」
と、云ったまま、咳き入った。二人が、背を撫でた。
「わしは、見る通り、最早、己一人で、起き直る力も無うなった。又――」
肩で、大きい呼吸をして、暫く、黙っていたが、女中の運んで来た薬湯を、仁十郎の手から一口飲んで
「人に優った気力も、使い果してしもうた。兵道家として、最早、命数が尽きた。抜け殻の身じゃ」
静かな、というよりも、墓穴の中から、話しかけている人の声のように、微かであった。
「最早――御奉公は勤まらぬ」
玄白斎は、俯向いて、ゆるやかに、首を振った。
「勤まらぬのみではない、不忠者にも、なった。牧の性根を、見損じた。あれを――」
玄白斎は、仁十郎を見た。
「久七峠で、斬らなんだ――わしの、生涯の失策であった。わしは、あれを赦してやったが、あいつは、わしを赦さない。わしの、老いた気力を見込んで、呪殺しようとしおった。わしは、呪法争いに負けた」
人々の顔に、微かな殺気が立って来たが、誰も、口を利かなかった。
「わしが、精力を尽し果して倒れるからには、斉彬公の御命数も危い。