Classiques japonais avec furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans
その上に、厳然たるべき法を乱すなど――」
「川北は、上のお指図へ反く所存か」
平が、大きい声を出した。
「法は、曲げられませぬ」
「何?」
「上が、法をお曲げになれば、何故、平様が、御諫言なされませぬ。上がお曲げになったまま、下へ強請して、それで、殿の補佐する御家老と申せましょうか」
平の顔は、みるみる赤くなった。川北を、じっと、暫く、睨みつけていたが
「よし。頼まぬ」
と、低く叫んだ。
「裁許掛は、一人ではない」
「左様、腸の腐ったのも居りましょう」
「退れっ」
平は、怒鳴った。川北が
「平殿」
と、怒鳴った。平は、川北を、睨みつけて、立上った。
「かような無法の例を残して――」
と、云いかけると、平は、急ぎ足に、襖外へ出た。そして、侍に
「退げろ」
と、云った。二人は、じっと、平の出て行った後方を、睨んでいた。
川上矢五太夫は、門から、走って入るように、急ぎ足で、玄関へ上ると
「誰か――誰か居るか」
と、怒鳴った。
「はいっ、はいっ」
周章てて、それに答える声が、納戸からも、玄関脇の部屋からも、起った。矢五太夫が、廊下へ、荒い足音を立てて、自分の部屋の方へ行く、後方から、若党が、女中が――そして、行手の部屋から、女房と、その後方に、七瀬とが、出て来て