Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
Lisez 南蛮秘話森右近丸 (なんばんひわもりうこんまる) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 55 869 caractères · 112 écrans
「ああ妾には解らない」
ハッキリ解っていることは、可愛がってくれたお父様が、死んでしまったということであった。一人の父! 一人の娘! 母もなければ兄弟もない。親戚もなければ知己もない。で、お父様の死んだ今は、民弥は文字通り一人ぼっちであった。その上生活は貧しかった。明日の食物さえないのである。
どうするだろう? 可哀そうな民弥?
「お父様!」と叫ぶと新しく涙、澪すと同時に泣き倒れた。
どんなに民弥が気丈でも、その程度には限りがある。泣き倒れたのは当然と云えよう。父の冷たい額の上へ、熱で燃えるような額を宛て、民弥はいつ迄もいつ迄も泣く。
どんどん春の夜は更けていく。咽び泣く民弥の声ばかりが、その春の夜へ糸を引く。泣き死んでしまうのではないだろうか? いつ迄もいつ迄もいつ迄も泣く。
だがこのとき、庭の方から、厳かに呼びかける声がして、それが悲しめる民弥の心を、一瞬の間に慰めた。
「悲しめる者よ、救われなければならない。……民弥よ民弥よ嘆くには及ばぬ。……父の死骸は南蛮寺へ葬れ!」
それはこういう声であった。
窓の向こうに人影がある。月光の中に立っている。