Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans
と、それと合奏するように、シャーッ、シャーッという狐の声が、物さびしい夜を物さびしくした。ホイホイホイ、ホイホイホイ、墨堤を走る駕籠であった。
二人はもはや物をいわない。
物をいうことさえ恐れているのだ。
行き詰まった二人の心持ち! しかも生活までも行き詰まっていた。
二人はいつまでも黙っていた。黙っていても不安であった。物をいっても不安であった。いったいどうしたらいいのだろう?
と、浪人はうめくようにいった。
「それにしても俺には解らない。……あんなものが! 馬方が! ふん、あんな馬子の唄が、そうまでお前の心持ちを……」
「魅入られているのでございます」
「魅入られていると? いかにもそうだ! ああそれも、昔からだ!」
「あんな男と思いながら……それも死んでいる人間だのに……一度あの唄が聞こえて来ると、急に心が狂わしくなり、体じゅうの血が煮えかえり……生きている空とてはございません」
女は髪を掻きむしろうとした。
「因果な俺達だ。救いはない」
憐れむような声であった。
ふと、笑い声が聞こえて来た。この場に不似合いな笑い声であった。それを耳にすると二人の心は、一瞬の間晴々しくなった。