Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じょうちゅうのしも

城中の霜

山本 周五郎

Lisez 城中の霜 (じょうちゅうのしも) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 828 caractères · 26 écrans

Aozora Bunko

金五は、左内を柔弱者だと罵った。生白い面をして、女の腐ったような奴だと、罵詈悪口した末に、喜多の香苗と猥らな仲だと云った。香苗はそれを判きりと聞いた、言葉の意味は本当には分らなかったが、なにかしらん罪深い、禁断の帷の奥をいきなりあけて見せられたような、胸苦しい羞恥と忿りに身の震えるのを覚えた。

左内は静かな、然し鋭い声で、――それは嘘だ。と云った。――根も葉もないことを云うものではない、自分は男だからよいが、女には取返しのつかぬことになる、それだけは取消せ。――取消す必要はない。金五の声より疾く左内は刀を抜いた。不意を衝かれた少年たちは四方へ逃げだしたが、左内は切尖を付けて金五を動かさなかった。――金五、いまの言葉を取消せ。声は矢張り静かだが、その眼は烈火のように相手の面上に食いついていた。

香苗は今でもその時の感動を忘れることが出来ない。日頃は女のように弱々しく、曾ていちども怒った例のない左内が、香苗のために刀を抜いて立ち向ったのだ。その必死の意気に呑まれて、金五はその暴言を取消したが、香苗にとってはそんなことは問題ではなかった。自分の名誉のために刀を以て立ち向って呉れた彼の断乎たる態度、それだけでどんな恥辱も拭い去られるような気がしたのである。