Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
じょうちゅうのしも
城中の霜
山本 周五郎
Lisez 城中の霜 (じょうちゅうのしも) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 828 caractères · 26 écrans
四
……冬の短い日はもう昏れて、街にはすっかり灯が点いていた。今夜もまた凍てるのであろう、風もないのに空気は冷えきって、足元から這上る寒気は骨までしみ徹るかと思われる。香苗は両袖で確りと胸を押えながら歩いた。ふところへ入れて来た辞世の詩に籠っている左内の心を、その寒さから護ろうとでもするように、……辻へ出ると灯の明るい商家の街になった。往来の人々が寒さに身を縮めながら、追われるように前後へすれちがった。――どうしたのかしら、この感じは。どうしてもぴったりとしない気持が、いつまでも香苗の心に棘を残していた。――あんなに精しく聞いたのに、少しも左内さまの御最期という感じがしない、左内さまがどんな人であるかということは、香苗がいちばんよく知っていた筈なのに。彼女は腑におちない気持で幾たびもそう呟いた。
四
香苗は左内と三つ違いだった。二人とも福井の国許で生れ、また従兄妹という縁もあったし、屋敷も近かったので、幼い頃からよく往来して知合っていた。左内は色の白い、眉の秀でた小柄の美少年で、口数の寡い、極めて温和な、どちらかというと少女のような優しい性質をもっていた。