Classiques japonais avec furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lisez 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 647 caractères · 215 écrans
いかなる人の念願がこのみ仏に宿っているのであろうか。病気平癒の願に発したものに相違ないが、私ははじめその純白の眼のゆえに、眼病平癒の祈りをこめたみ仏であろうかと想像していたのであった。むろんそうではない。しかし私はやはり眼から離れられない。薄暗く荒廃した堂内に、その白い眼だけがくっきり浮びあかっているのは異様である。金堂の本尊とは、仏体ではなくこのたった二つの眼だけであるようにさえ思える。千三百年のあいだ、何を見、何に耐えてこの白眼を現出したのであろうか。如来自ら眼を病んでおいでになるのか。
法輪寺というところには、荒廃のゆえか不思議な仏体がある。たとえば三重塔の裡に、平安時代の釈迦如来像一躯が安置されているが、衆生に向って挙げたその右の御手は中指が一本残っているだけで、他の指は悉く腐蝕剥落してしまっている。指を一本だけたてているようにみえる。指が一本だけになってもなお衆生に悲心を垂れ給うことを止めないのか。また同じ塔内に天平の原体を補修した夢違観音立像が一躯佇立しているが、原体はもはやうかがうことは出来ない。殆ど崩壊しているのであろう。粘土をもって遠慮なく全身を固めてしまった。