Classiques japonais avec furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lisez 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 647 caractères · 215 écrans
中宮寺
思惟の像
鳥はその田を私せず、天皇のために更に金剛寺を建立したと伝えられている。金堂の釈迦像もかような心情を無視しては真に解することは出来ないであろう。推古天皇と上宮太子、及び鳥仏師との間の信仰に結ばれた君臣の情が、あの無比の畏敬となってあらわれたのであろう。しかし、釈迦像には感傷的な何ものもない。おそらく鳥の、「私」を滅却した全き帰依が然らしめたのである。
――昭和十七年秋――
中宮寺
思惟の像
夢殿をめぐって中宮寺の庭へさしかかると、あたりが一層森閑としてくる。法隆寺に群る参詣人達もここまでは足をのばさぬのであろう。陽炎のたちのぼる暖かい春の日で、何をみてもけだるく疲れ易かったが、ひっそりしたこの庭に行ったとき、はじめて心のひきしまるのを覚えた。中宮寺はもと太子の御母君間人穴穂部皇后の宮であり、皇后崩じ給いし後尼寺にしたという。今に残る中宮寺は古建築物一つなく、寺というよりは高貴な方の邸宅にも似た新しい御堂があるばかりである。遠い飛鳥時代に、四天王寺や法隆寺が建立されるまでは、おそらく仏像は各氏族の邸内にこのようにして祀られたのであったろうと懐しく思われた。