Classiques japonais avec furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lisez 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) de 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 108 647 caractères · 215 écrans
半眼にみひらいたこのものは、人をみているのか、人の背後の漠々たる空間をみているのか不分明である。人間を無視したような腹だたしいまでの沈黙が私を疎遠にさせた。仏は人間の行為をすべて無為に誘うのであろうか、その眼を見ていると、私はそこに屡々人間の神秘よりも野獣の神秘を見るのであったが、たとえばアポロ像に比して、これがより原始に、より自然に、母なる大地にむすびついている所以なのでもあろうか。対自然的ではなく、即自然的に、行為よりは直観に依存して自得した人間の着座でもあろうか。希臘彫刻には対自然的に争闘し、行為し、時に敗北した人間の悲哀が宿っているように思われる。我々は彼と偕に肩を組んでオリムポスの峰々を歩むことが出来る。そういう親しさが仏像にはない。あまりの沈黙と静謐、尨大で奇怪な生命力――それに対すると、私は抱擁せずむしろ狐疑逡巡し警戒するのを常とした。生の讃歌を否定するのではないか――これが私の仏像への危惧であった。
奈良へ来てはじめてわかったことであるが、自分のこの感じは主として座像に関係していたようである。はじめどのような座像にも心をひかれなかった。