Classiques japonais avec furigana
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Lisez 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 941 caractères · 79 écrans
香具師は声に出して呟いた。「これだけの大都の支配者じゃあ無いか? 結構すぎる程の身分じゃあ無いか……人間慾には限りはねえ。一つの慾を満足させりゃあ、つづいて最う一つの慾が起こる。そいつを果たすと最う一つ。で、一生止む時はねえ。……上を見れば限りはねえが、下を見ても限りはねえ。明日の生活に困るような、然ういう人間だってウザウザ居るその官位は中納言、その禄高は六十五万石、尾張の国の領主なら、不平も何も無い筈だがなあ。……将軍に成りてえのは道理としても、成ったら苦労が多かろうに。……だがマァそれは夫れとして、大岡越前守様が来ていようとは、俺に執っちゃあ寝耳に水だ! いや何うも驚いたなあ」じっと思案に耽ったが「兎も角俺の仕事も済んだ。どれソロソロ引き上げようか」
屋根の傾斜をソロソロと下った。髪編紐を伝わり四重の屋根へ、素早く香具師は下り立った。
「殿様、ゆっくり大屋根から、城下を眺めさせて戴きやした。えらい景気でございますなあ」
ヒョイと部屋の中へ飛び込んだ。
お半の方と宗春は驚いたように眼をった。だが香具師も眼を※(「目+爭」、第3水準1-88-85)った。