Classiques japonais avec furigana
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Lisez 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 941 caractères · 79 écrans
四
おお恐え逆磔刑だ! が、併しお大名衆から、特にご用を仰せ付かるなら、こいつは別物だ遠慮はしねえ、城の模型だって造ってみせる。山本勘介も武田信玄も、太田道灌も太閤様も、俺から云わせりゃ甘えものさ。昔から名ある築城師、そんなもなあ屁の河童だ! だがマア自慢はこれくらいとして、さて夫れでは実物に就いて、説教することにしようかな。……最初は是だ、この模型だ! 五行循環吉祥之屋敷!」
こう云い乍らその香具師は、地面に置いた風呂敷包から、屋敷の模型を取り出した。
今日の張ボテ式、子供瞞しの品ではあったが、さすがに自慢をするだけあって模型としては完全であり、殊には精巧を極めていた。
四
「さあ是だ!」と叫び乍ら香具師は模型を右手に捧げた。「畳の原理から説くことにしよう。由来畳というものは、神代時代からあったものだ。むかし天照大神の御孫、瓊々杵尊の御子様に、彦火々出見というお子様があられ、大綿津見へ到らせ給うや、海神豊玉彦尊、八重の畳を敷き設け、敬い迎うと記されてある。これ畳の濫觴だ。夫日本の畳たるや八八六十四の目盛がある。六十四卦に象ったものだ。で、人間の吉凶禍福は、畳にありと云ってもよい。