Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

うしなわれたはんしん

失われた半身

豊島 与志雄

Lisez 失われた半身 (うしなわれたはんしん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 545 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

」

この種の議論は、実におれには苦手だし、くそ面白くもない。ウイスキーを飲み干すと、丁度、他の客がはいって来たので、立ち上りかけた。

「君は、戦地で特殊な経験も積んで来たろうが……。」

「考えは平凡かね。」

「いや、平凡じゃないが、なにか、忘れものをしてるような……。」

戸川もウイスキーをなめながら、独語のように、低く言ったのだが、おれは妙に冷りとした。彼だって、なにか忘れものをしてるようなところがあるじゃないか。そう思っても、おれの冷りとした感じに変りはない。そうだ、なにか忘れものをしてるようなところ、それをおれ自身、前から感じていたのだ。戦地でのことをひとから聞かれる度に、おれは当り障りのないことだけを答えたが、実は、誰にも話したくないことが幾つかあった。自分自身にも伏せておきたいことだ。そういうことと関係があるのかも知れなかった。戸川の蒼白い精神主義者めが、何を感づいたのか。

彼は少し酔ったらしく、卓上に両手で頭をかかえていた。

おれは立って行って、勘定をすまし、黙ってそこを出た。挨拶するなら、戸川の方からすべきだ。秋の陽差しが強く、眼がくらくらした。