Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 681 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

八幡前はさすがに静かでした。とある狭い路地を入って、薄暗い格子戸の前に立った女は、暫く叩いたり、声をかけたり、格子を押したり引いたりしておりましたが、

「叔母さんは留守かしら、随分呑気ねえ」

薄暗い中で忠弘を顧みてにっこりすると、そのまま裏へ廻って、案内知ったお勝手口から入り、表へ突き抜けて格子をあけてくれました。

伊予守忠弘はこうして生れて初めて、町人の貧し気な家の中に招じ入れられたのです。女が火打箱を捜して灯を点けて、炭を起して湯を沸し、熱いお茶を淹れてくれるまで、忠弘は煎餅になった座布団の上で、神妙に待っておりました。

「寒かったでしょう、まず熱いお茶を召し上って下さい――私も頂きますわ」

女は行灯を中にして、忠弘と相対しました。静かに見るとこの女の素性はますますわからなくなります。色の浅黒さと、眼元の涼しさと、そして聡明らしさから来る抜群の魅力と、健康と野性と、情熱で醸し出された不思議の肉感が、若い殿様をグイグイと捕虜にしてゆきます。

「叔母さんはこの騒ぎに驚いて、どっかへ行ってしまったのでしょう。でも構いませんわ、御都合の宜しい時まで、ゆっくり泊っていらっしゃいませ」