Classiques japonais avec furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lisez 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 286 caractères · 20 écrans
「やい、やい、――少し待ちなよ」
後ろからぼんのくぼを撫でるような声を掛けられて、頼門はハッと立止りました。
「待ちなよ、若えの、いやさお侍」
林の中からバラバラと飛んで来たのは、熊の皮の胴服を素っ裸の上に着て、空っ脛にはばきを穿いた五十男と、半纏を頭から被って、素足に藁靴を履いた三十男の二人、一人は短い山刀、一人は長脇差、それを引っこ抜いて、頼門の左右から迫ったのです。
「何者ッ、無礼者奴ッ」
頼門はとある大きな木の幹を小盾に、一刀の鯉口を切って、精一杯の虚勢を張りました。男っ振りは申分なく、学問も相応ですが、何んの因果か文弱に育って、武芸の方はまるっきりいけなかったのです。
「へッ、へッ、笑わせるぜ、見得を切ったって驚くこちとらじゃねえ、御領内に湧いた悪い虫だ、お見知り置いて貰おうか」
熊の皮の胴服の方は、山刀にうねりをくれて、人をなめ切ったようにせせら笑って居ります。
「――――」
頼門はぞっとしました。相手は頼門の身分を知らずに襲ったのではなく、領主の御曹司と承知の上、こう高飛車に出たとすれば、これは実に容易ならぬことです。
「お前さんは従五位下出雲守頼門様さ。