Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Lisez 契りきぬ (ちぎりきぬ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 757 caractères · 66 écrans
四の三
脇へそむけているおなつの頬に、さっきから涙が条をなしてながれている。精之助はその涙を見た、すり寄って抱き締めたい衝動にかられたらしい、つと身動きしたが、しかしくっと唇をひき結び、さらにこう言葉を継いだ。
「あの日、友達を呼んだのは、かたちばかりだが内祝言のつもりだった、友達もそのつもりで、口にはださなかったが、みんな祝ってくれた、――父と母の肖像を仏間へ飾った気持は、あのとき云った筈だ、しかし、こんなことは実は、少しも話す必要はないんだ、なつ、――おれはおまえを愛していた、今でも、これからも、おれにはおまえのほかに妻はない、おれの愛することのできるのはおまえだけだ、なつ帰ってくれ」
四の三
宵のうちから降りだした雪が、さらさらと更けた雨戸に音をたてている。
鷹二郎を寝かせてある側で、いねが泣きおなつも泣きながら話していた。油が少くなったのだろう、行燈の火がじりじり呟きながら揺れ、火桶の炭火は、白く厚く灰をかむっていた。――あれから精之助は鷹二郎とながいこと遊び、いい気持そうに酒を飲んで寝た。
――よくわかりました。それでは帰らせて頂きます。
おなつがそう答えたのを信じて、これでようやく安心して寝られる。