Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こをうばう

子を奪う

豊島 与志雄

Lisez 子を奪う (こをうばう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 292 caractères · 80 écrans

Aozora Bunko

敏子は固より幾代まで、自分が食べるのをうち忘れて、依子の面倒をみてやっていた。依子は促される度に小さく口を開きながら、自分では食べようともせずに、食卓の上に並んでるいろんな皿を、珍らしそうに眺めていた。多くの皿は手がつけられないで残っていた。敏子も幾代も兼子も、ごく少ししか食べなかった。ただ瀬戸と彼とだけがやたらに食べた。彼は片手に杯を持ちながら、危うげに箸を掴んでる依子の小さな手附を、しきりに眺めていた。眼の底が熱くなってきた。皆が箸を置かないうちに、彼は一人ぷいと立ち上った。

足がふらふらして頭がかっと熱っていた。煙草に火をつけながら、庭の中を歩き廻った。空は一面に曇ってるらしく、星の光りも見えなかった。湿っぽい冷かな空気が何処からともなく流れてきて、今にも雨になるかと思われた。彼は俄に真黒な木立に慴えて、それでもなるべく薄暗い隅を選んで、縁側に腰掛けた。じっとしていると、わけもなく涙が出て来た。それを自ら押し隠すようにして、背中の柱に軽く頭をこつこつやった。頭の動きが一人でに強くなっていった。しまいには、軽い眩暈を覚えた。然し柱の角にぶっつける痛みは、頭の皮膚に少しも感じなかった。