Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こをうばう
子を奪う
豊島 与志雄
Lisez 子を奪う (こをうばう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 292 caractères · 80 écrans
寝間着に着換えさしても、口をもぐもぐやるきりで、ぐっすり寝込んでいた。
「寝坊な子ですわね。」と兼子は云った。
「昼間の疲れでしょう。」と幾代は云った。
彼は幾度も幾代の寝床へ、依子の寝顔を覗きに行った。依子は変にちぢこまって眠っていた。
「これなら大丈夫だ。」と彼は云った。
「おとなしい子ですわね。」と兼子は云った。「そして大変悧口そうですよ。今朝いきなり、お祖母ちゃまだのお母ちゃまだのと云うものですから、喫驚しましたわ。勿論あの方が、よく教え込んで置かれたのでしょうけれど……。」
四五日もすれば家の子になりきるだろう、と彼は思った。そしてすっかり馴れてしまえば、万事がよくなるだろう。
然しその翌日、幾代が三田へ行っている留守中に、依子は俄に泣き出した。誰が何と云っても泣き止まなかった。初めは些細なことだった。女中がカステイラを二切皿に入れて持って来た。依子はその半分だけ食べて止した。「もう沢山ですか、」と兼子は尋ねた。依子は何とも答えなかった。「よかったらお食べなさい、」と兼子はまた云った。依子は黙っていた。それで兼子は、残りの菓子をあちらへ持ってゆかした。