Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans
「そいつは悪かった」河口はそう云いかけて、訝しそうに勝子を見た、「あにいがどうしたって」
「このざまだよ」勝子はまた手を振った。河口はその手のほうへ眼をやり、そこに寝ころんでいる増田を見て、ぼんやりと呟いた、「あにいだな」
河口は起き直り、もういちどよく慥かめてから云った。
「こりゃああにいじゃねえか」
「正躰なしなんだよ」
「じか足袋のまんまだぜ」
「初つぁんにあげてもらったんじゃないか、初つぁんもじか足袋のままだよ」
河口は自分の足を眺め、こいつはひでえ、とんだ右大臣だと云って、這いながら上り框のほうへゆき、土間へおりた。勝子もあとからついていったが、河口は暗い土間を見まわして、から弁当の包をみつけて拾いあげると、じゃあ、といって勝子に頷いた。
「あにきによろしく」と彼は云った、「おやすみ」
「おやすみ」と勝子が答えた、「お良さんによろしく云っとくれよ」
河口はゆっくりあるきだし、些かの誤りもためらいもなく、まっすぐに自分の家へいって、けえったよ、と云いながら格子をあけた。出て来た良江も、驚いたりまごついたりするようすはなかった。
「お帰んなさい、おそかったじゃないの」