Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lisez 季節のない街 (きせつのないまち) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 379 caractères · 394 écrans

Aozora Bunko

或る日、おたねは黙ってかつ子を伴れだし、本通りから電車に乗って、中橋の仁善病院へいった。そこは建物も古いし医者もへぼだが、診察料が安いので知られていたのだ。――病院では、いま婦人科の担任がいないのでと、院長がざっと診察をし、妊娠に紛れのないこと、二カ月めの終りごろだろうこと、母躰に異常のないことなどを告げた。おたねはそれとなく、人工流産がしてもらえるかどうかと、さぐりを入れてみたら、院長もさりげなく、まだ成年未満であるし、親や良人の承認と、しかるべき費用が出せるなら不可能ではない、というような返辞をした。しかるべき費用とはおよそどのくらいかと、おたねがさしさわりのないようにきくと、院長もさしさわりのないような調子で、およその金額をもらした。

おたねは病院を出て、かつ子と裏通りをあるいて帰りながら、相手は誰だときいた。かつ子は診察のあと待合室にいて、伯母と院長の会話は聞かなかったから、相手は誰だという質問が、すぐに理解できないようであった。

「隠してもしょうがないよ」おたねは事実を話してから云った、「おまえ自身のことだからね、あたしには関係のないことだし、どんなわけだったにしろあたしはなんとも思やしないからね、本当のことをお云いな、相手は誰だったの」