Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

Lisez 孤島の鬼 (ことうのおに) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 181 795 caractères · 359 écrans

Aozora Bunko

それは最早や人間と云うよりも不気味な獣類でしかなかった。

私は恐怖の為にうめいた。

死の恐怖とは別の、だがそれよりも、もっともっといやな、何とも云えぬ恐ろしさであった。

人間の心の奥底に隠れている、ゾッとする程不気味なものが今や私の前に、その海坊主みたいな、奇怪な姿を現わしているのだ。

地獄絵だ。闇と死と獣性の生地獄だ。

私はいつかうめく力を失っていた。声を出すのが恐ろしかったのだ。

火の様に燃えた頬が、私の恐怖に汗ばんだ頬の上に重なった。ハッハッと云う犬の様な呼吸、一種異様の体臭、そして、ヌメヌメと滑かな、熱い粘膜が、私の唇を探して、蛭の様に、顔中を這い廻った。

諸戸道雄は今はこの世にいない人である。だが、私は余りに死者を恥しめることを恐れる。もうこんなことを、長々と書くのは止そう。

丁度その時、非常に変な事が起った。そのお蔭で、私は難を逃れることが出来た程に、意外な椿事であった。

洞窟の他の端で、変な物音がしたのだ。蝙蝠や蟹には馴れていたが、その物音はそんな小動物の立てたものではなかった。もっとずっと大きな生物が蠢いている気配なのだ。

諸戸は私を掴んでいる手をゆるめて、私は反抗を中止して、じっと聞耳を立てた。